Any key(エニー・キー)とは、コンピュータの操作において、ソフトウェアがユーザに対して何らかの表示出力を行い、これを確認した後に不特定のキー入力を求める際に使われる表現である。通常は"Press any key to continue"(続行するには何かキーを押してください)のように使用される。

概要

現在、一般に流通しているコンピュータに於いて、標準で「Any」という刻印のあるキー(入力スイッチ)はキーボード上に存在しない。英語の “Any” は疑問文や否定文では不定数(不定量)を表すが、肯定文で単数形を伴うと、anyは不定のものを表し、"Press any key" は「(どれでもいいので)何らかのキーを押しなさい」という意味である。コンピュータの画面上では、「 Press Any key to continue... 」ないし「 Hit Any key... 」などと、何らかのキー入力を求める表示に使われる表現である。

"any key"という表現は、厳密には正確ではない。ほとんどのコンピュータシステムでは、修飾キー(シフトキーなど)、ロックキー(NumLockキーなど)、変換キーなど、単独で押下してもプログラムが実際の文字を生成しないキーがあり、"Press any key"に対してこれらのキーを押下しても何も起こらない。

DVD-R130など一部のサムスン電子製DVDプレーヤーのリモコンには"anykey"というボタンがあり、視聴中のDVDの状態を表示するために使用される。

歴史

初期のコンピュータでは、通常、出力装置としてテレタイプ端末が使用され、出力結果は紙に印刷された状態で表示された。そのため、一度に大量の結果を出力しても、後から見直すことができた。しかし、1970年代には、テレタイプ端末に代わってビデオ表示端末(VDU)が使用されるようになり、出力結果はディスプレイに表示されるようになった。ディスプレイでは、大量の結果を一度に表示するとスクロールされて最初の方の結果を見ることができない。そのため、1画面文のデータを表示して一時停止するようになった。ユーザは結果を確認し、何らかのキーを押下すると次の1画面文のデータが表示された。

また、フロッピーディスクの挿入やプリンタへの紙の補充など、ユーザによる何らかの物理的アクションが必要な場合にも、同様の一時停止が必要だった。

このようなプロンプトは、テキストベースのオペレーティングシステムでは一般的だった。グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)ではスクロールバーにより画面外にスクロールされたデータが表示できるようになり、データ表示のためのこのようなプロンプトは不要となった。ただし、後者のユーザのアクションを求めるプロンプトについては、「継続するには"OK"をクリック」と表示するモーダルダイアログなどのグラフィカルな表現に姿を変えて、今も残っている。

文化的意義

1982年のApple Computerの開発者向けマニュアルには、次のように書かれている。

1988年には、「"any"と刻印されたキーをキーボードから探したが、見つからなかった」と技術サポートに電話があったという報告がある。コンピュータメーカーのコンパックは、"any"というキーが存在しないことをFAQに追加し、一時は"Press any key"(何かキーを押してください)を"Press return key"(リターンキーを押してください)に置き換えることを検討した。 "any key"という概念は、コンピュータ関連ではよく登場するユーモアである。ザ・シンプソンズの第7シーズンのエピソード「キングサイズホーマー」でギャグとして使われた。

実際に"any"と刻印されたキーが、ジョークグッズとして売られていたり、記念品として配られたりする。

脚注

関連項目

  • キー配列

Keyboard With Any Key Stock Photos Image 17764203

Finally, Someone Has Found The Any Key Hackaday

Anykey ist mit dabei Du auch? anykey

AnyKey

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