MRTパープルライン((英)Metropolitan Rapid Transit Purple Line)は、バンコク・メトロに属する高架鉄道路線である。正式名はチャローン・ラチャタム線(タイ語: สายฉลองรัชธรรม。
概要
当線はタイの首都バンコクにおける、地下鉄および高架鉄道から構成される鉄道網の一部である。バンコク・エクスプレスウェイ・アンド・メトロ (BEM) が運営している。
2022年現在、 2004年に開業した■ブルーライン(チャルーム・ラチャモンコン線)、2016年に開業した■パープルラインの2路線がある。
当記事は後者について扱う。 軌間は標準軌(1,435 mm)で、直流750 Vによる第三軌条集電方式である。最高時速は80 km/h。
パープルラインは、バンコク北西部のバンヤイ地区と中心部に近いバンスー地区を結ぶ全長約23 kmの路線で、全区間が地上を走り、全駅が高架駅かつ島式ホームである。タイ運輸交通局が日本の円借款を活用して建設した。ブルーラインと同じく第三軌条方式を採用しているが、車両は新たに東日本旅客鉄道(JR東日本)グループの総合車両製作所(J-TREC)が新造したステンレス製車両3両編成21本(63両)が納入された。また、併せてJR東日本は丸紅・東芝と共同で合弁の現地法人をバンコクに設立し、パープルラインの鉄道車両や地上設備についてのメンテナンス業務を実施することになった。
2015年9月21日に、第一便としてタイに到着した3編成9両 のうち2編成の引き渡し式典が行われた。第二便の3編成、続けて5編成ずつ3回、延べ5回の輸送を経て 2016年1月までに全編成の輸送を完了した。
2015年12月14日より試験走行を開始。本格的な試運転は2016年5月10日より開始となった。翌6月から7月にかけて無料運行し、当初はシリキット王妃誕生日である8月12日に正式開業する予定と報じられた が、繰り上げて8月6日に正式開業した。
ブルーラインのバーンスー駅とタオプーン駅間の延伸がパープルラインの開業に間に合わず、乗客は一時的に無料シャトルバスでの不便な乗り換えを強いられることとなった。加えて運賃も比較的高いことから同路線は敬遠され、開業当初の1日あたりの利用客は想定(1日あたりの利用客は6 - 7万人)を大幅に下回る2万人程度に留まった。2017年8月11日、ブルーラインがタオプーン駅まで延伸開業 し両線が繋がったことで乗客数は飛躍的に増加し、2018年11月末時点での1日当たりの利用客数は6万人程度、平日に限れば6万8千人程度までになっている。
2017年よりタオプーン駅以南の延伸計画が進められているが、2021年現在も着工に至っていない。詳細は後述。
車両基地はクローンバーンパイ駅の東側に設けられている。
車両
総合車両製作所製の鉄道車両「sustina S24」21編成63両が導入されている。車内は、防犯カメラの設置や、雨季に濡れた客が座った後に拭きやすいようプラスチック製の固い座席(バケットシートタイプのロングシート)が備え付けられている 。
駅
駅一覧は後述。各駅に共通する事項はバンコク・メトロ#駅を、駅ごとの特徴は当該記事を参照のこと。
運賃
ブルーラインとパープルラインがタオプーン駅でつながったので、現在は両線を乗り通す場合は通し運賃となっている。全線を乗り通したラックソーン - クローンバーンパイ間の運賃は70バーツである(割引制度あり、以下参照)。なお、バンコク・メトロの ホームページ で運賃検索が可能。
パープルラインの運賃は乗車距離に応じて17 - 42バーツである(2019年9月時点)。なお、ブルーライン同様に割引制度があり、子供及び高齢者は50%引き、学生は学生用ICカード利用で10%引きとなる。
BTSとは異なり、1日乗車券はない。
歴史
- 2009年 11月 - 建設工事着工
- 2016年
- 5月10日 - 試運転(無料開放)開始
- 8月6日 - 開業
- 2017年 8月11日 - ■ブルーライン、タオプーン - バーンスー開業(■パープルラインと接続開始)
- 2020年 10月17日 - バンコク市内の学生デモが拡大した影響で1日中運行が停止される
- 2022年
- 2月 - タオプーン - クルナイ間 (23.6 km、17駅)の延伸事業における工事業者が決定
- 2月24日 - 延伸事業の工事業者と調印
- 3月17日 - 運行用ソフトウェアに障害発生、直通運転が一時的に不可能になる。
駅一覧
- ■パープルライン(チャローン・ラチャタム線)
駅は全て高架駅。
延伸計画
タオプーン駅より先、南進してブルーラインのサムヨード駅、BTSのウォンウィアン・ヤイ駅、プラプラデーン郡ラープラナへと延伸する計画がある。2017年7月25日、タイ王国軍事政権は閣議で、パープルラインの南側延伸区間の建設を承認した。タオプーン駅を出て線路は地下となり、タハーン通り、サムセーン通り、プラスメン通り、マハーチャイ通りを経て、チャオプラヤ川の下を潜り、対岸のソムデートプラジャオタクシン通り、マハイサワン交差点を経て再び高架になり、スクサワット通り上を進み、終点のクルナイ駅へと至るルートを予定。全長は23.6 kmで17駅を設置予定、また最高速度は80 km/hとし、当初は2023年から2024年にかけての開業目標としていた が未だ着工には至っておらず、2020年9月時点では、2021年に建設会社・運営会社の業者選定のための入札を行い、2027年開業目標としている。 2022年に入り、工事業者決定が公表された。
延伸計画区間を以下に示す。ラッタサパー駅 - サムレ駅 計10駅は地下駅の予定。(駅名は仮称である)
注釈
脚注
関連項目
- バンコク・スカイトレイン
- タイ国有鉄道
- タイの鉄道駅一覧
外部リンク
- Chalong Ratchadham Line (THE PURPLE LINE) - MRTA (タイ語)(英語)
- Metro Business - BEM (タイ語)(英語)
- ระบบรถไฟฟ้าในกทม.และปริมณฑล (タイ語)
- The MRT Purple Line Project: Tao Pun - Rat Burana (Kanchanapisek Road) Section (タイ語)(英語)




